自家焙煎の美味しいコーヒー豆の製造を行う「Koltra_coffee」と、農事組合法人「大戸洞舎（おどふらしゃ）」が運営する、地元産の食材を使ったレストラン「うぐら食堂」を切り盛りし、長浜の魅力的な食のシーンをじわじわ盛り上げている深尾さん夫妻。もともとは滋賀県外の生まれのお二人は、いろいろな地域での生活を経て、2014年に長浜市湖北町にある上山田の集落へと移住されてきました。

石川県出身の寛史さんと京都府出身の美紀子さんは金沢の芸術系の大学で出会い、その後ご結婚されるのですが、どこかで根を張るというよりは、その時に興味のあったことをするために各地を転々とするといったスタイルの生活を送っていました。そうした暮らしの中で徐々に、どこかに生活の拠点を設けて新しいことに挑戦がしたいという思いが大きくなっていきます。音楽やものづくりなどが好きな二人は、広い空間と豊かな自然環境に憧れと、お互いの実家へのアクセスがいいところという条件で移住先を考えていた時に上山田の集落に巡りあいました。

もともと「Koltra_coffee」という屋号でイベント出店などをされていただけに、集落の方からは「カフェをする人」だと思われ出迎えられたお二人。上山田にある農業組合法人「大戸洞舎」で穫れた農産物や加工品の食べ方や美味しさを知ってもらいたいという大戸洞舎側の思いと、夫妻にとっては仕事の場になるというお互いのメリットが重なり、2015年に大戸洞舎や地元で穫れた健康に良い食材を使った「うぐら食堂」をオープンさせます。丁寧に作られてきた食材を手間ひまかけて調理した美味しいランチと寛史さんこだわりのコーヒーで、口コミを中心に人気を集めています。

現在は住まいと店舗は別々ですが、ゆくゆくは、住居兼店舗の拠点を構え、いろいろな人が集まれる場所を作りたいと話す深尾さん夫妻。生産の現場の近くにいるからこそ出来る、新しい農と食の関係性は進化し続けています。

住みやすい里山だなと感じています。日常的な買い物にも困るような場所ではないし、名古屋や京都といった「都会」へのアクセスも良好です。雪は降りますが、動けなくて困るようなこともありません。

上山田の集落は周囲に山があるのですが、広葉樹も多く季節の移ろいをとても身近に感じることが出来ます。みんなで野山へ旬の食材を収穫しに行けるのは大きな魅力です。
一方で、長浜市には文化的な娯楽が少なくて音楽や映画、芸術などそうしたことに触れる機会が増えればいいなと思います。

空いている家は多くありますが、貸してもらえるかは別の話です。空家の情報をよく知っている、地域で顔の利く人に出会うことと、実際に交渉するためには持ち主さん含む地域の方との人付き合いが大事です。

深尾さんの田舎暮らしのススメ